「少し休めば戻ると思っていたのに、思ったほど元気にならない。」
そんな感覚を持ったことはないでしょうか。
休暇を取った。
睡眠も取れた。
一時的に気分は軽くなった。
それでも、
仕事や日常に戻ると、
また同じ疲れ方をしてしまう。
この背景には、
「回復」と「再生」を同じものとして捉えてしまう
という誤解があるように思います。
回復とは「ニュートラルに戻ること」
回復とは、
マイナスの状態がゼロに戻ることです。
疲れが取れる。
痛みが和らぐ。
不調が落ち着く。
身体的・心理的に
「通常運転」に戻る。
もちろん、これはとても大切なプロセスです。
回復がなければ、
次の行動はできません。
ただ、回復は
“元の状態に戻る”ことがゴールです。
再生とは「その先を見据えること」
一方、再生は
回復の先にあります。
問題がなくなったあと、
どう生きたいか。
どう働きたいか。
ここに目が向き始める状態です。
再生は、
一気に何かが変わることではありません。
- 優先順位が少し変わる
- 判断を急がなくなる
- 「今は決めなくていい」と思える
- 日常の感じ方が変わる
そうした小さな変化が、
静かに積み重なっていく。
回復が
「ゼロに戻る」なら、
再生は
「次の方向が見え始める」状態だと言えます。
なぜ多くの人は「回復」で止まってしまうのか
日常では、
不調や問題に意識が向きやすいものです。
「何が大変か」
「何がうまくいっていないか」
それを言葉にすることはできても、
「じゃあ、どうなったらいいのか」
まで考えたことがない人は、少なくありません。
問題がなくなれば終わり。
元に戻れれば十分。
そう考えている限り、
再生の入り口には立てないのです。
ウェルネスツーリズムが担う役割
ウェルネスツーリズムは、
回復と再生のあいだにある
“間(ま)”の時間を意図的につくります。
観光のように、
用意された体験を消費するのではなく、
その場で、自分の感覚が立ち上がる時間。
ゆっくり歩く。
人の話を聞く。
手を動かす。
土地のリズムに身を置く。
こうした体験の中で、
頭ではなく、
感覚が先に動き始めます。
すると、
「どうなりたいか」を
無理に考えなくても、
自然と方向が浮かび上がってくる。
これが、
回復から再生へ向かうプロセスです。
再生は、特別な人だけのものではない
再生という言葉を聞くと、
大きな変化や決断を
イメージするかもしれません。
でも実際は、
もっと日常的で、静かなものです。
- 今を満たすことを大切にする
- 成長だけをゴールにしない
- 前に進む以外の選択肢も持つ
そうした視点を
自分に許せるようになること。
ウェルネスツーリズムは、
その許可を与えるための
環境づくりだと考えています。
「休む」から「整える」へ
休むことは、回復のために必要です。
でも、休むだけでは
再生は起こりません。
再生には、
- 距離を取ること
- 感覚に戻ること
- 日常を違う角度から見ること
が必要です。
ウェルネスツーリズムは、
そのための時間と場を、
あらかじめ設計します。
次回予告
このコラムでは、
今後も
「なぜそれが必要なのか」
「どう役に立つのか」
を、ひとつずつ整理していきます。
次回は、
なぜウェルネスツーリズムが
働く人の判断力や余白を取り戻すのか
について掘り下げます。
