中小企業が採用できない時代に見直したい「定着」と人材戦略|人手不足を採用だけで解決しないために

「求人を出しても応募が来ない」

「ようやく採用できても、すぐに辞めてしまう」

こうした悩みを抱える中小企業は、決して少なくありません。

2026年7月の有効求人倍率は、全国で1.18倍、愛知県で1.23倍でした。さらに愛知県の新規求人倍率は2.39倍となっています。

企業側から見ると、働く人を求めている会社のほうが多く、採用競争が起きやすい状況です。

ただし、人手不足を「どう採用するか」だけで考えていると、根本的な解決につながらないことがあります。

これからの中小企業に必要なのは、採用と同時に、

「今いる社員が、この会社で働き続けられる状態になっているか」

を見直すことです。

採用、定着、働き方、組織づくり、健康。

これらを別々の問題ではなく、ひとつの「人材戦略」として考えてみてください。

なぜ中小企業では人を採ることが難しくなっているのか

2026年7月の新規求人倍率は、全国で2.10倍、愛知県では2.39倍でした。

つまり、新しく仕事を探している人に対して、多くの企業が人材を求めている状況です。

このような環境では、企業同士で人材を取り合うことになります。

特に中小企業の場合、大企業と同じように、

  • 高い給与を提示する
  • 多くの広告費をかける
  • 企業名の知名度で応募を集める

といった採用方法を取るのが難しいケースもあります。

そのため、

「求人媒体を増やせばよい」

「採用広告をもっと出せばよい」

という方法だけでは、人材確保が難しくなっています。

中小企業庁も、人材不足への対応を、中小企業・小規模事業者に共通する重要な経営課題として位置づけています。

つまり、人手不足は採用担当者だけの問題ではありません。

会社全体で考えるべき経営課題になっているのです。

採用だけでは人手不足が解決しない理由

例えば、30人の会社で2人の人手が足りていないとします。

そこで2人を採用できれば、人手不足は解消したように見えます。

しかし、その間に今いる社員が2人辞めれば、人数は元に戻ってしまいます。

これでは、採用を続けても人手不足はなかなか解消しません。

採用活動には目が向きやすい一方で、

「今いる社員が、なぜ辞めているのか」

には、十分に目を向けられていない企業もあります。

2025年版中小企業白書では、人材が不足していない企業ほど、採用した人材の定着率が高い傾向が示されています。

反対に、人材不足の企業では、定着率が低い企業の割合が高くなっています。

つまり、人材確保を考えるときは、

「何人採用できるか」だけではなく、「何人が働き続けられるか」まで見ることが大切です。

「何人採るか」と同時に「誰が辞めたら困るか」を考える

特に従業員20〜50人ほどの中小企業では、社員一人の退職が会社に大きな影響を与えることがあります。

例えば、次のような人が辞めた場合を考えてみてください。

  • 現場をまとめている管理職
  • 特定の資格を持つ社員
  • 経験の長いベテラン社員
  • 将来を担ってほしい若手社員
  • その人しか分からない仕事を担当している社員

もし、その人が突然休職したり、退職したりしたら、仕事は問題なく回るでしょうか。

誰が引き継ぐでしょうか。

中小企業では、一人がいくつもの役割を担っていることも珍しくありません。

そのため、一人の退職によって、

  • 残った社員の負担が増える
  • お客様への対応が遅れる
  • 技術やノウハウが失われる
  • 管理職にさらに仕事が集中する

といった問題が起きることがあります。

人材の定着は、単なる「離職防止」ではありません。

属人化の解消や人材育成、技術の引き継ぎ、さらには事業を続けていくための備えにもつながります。

採用人数を考えることと、

「今いる誰に、これからも働き続けてほしいのか」

を考えること。

この2つを同時に考えることが、人材戦略の第一歩です。

定着を左右するのは待遇だけではない

もちろん、給与や待遇は大切です。

ただ、人が会社で働き続けられるかどうかは、それだけで決まるものではありません。

例えば、

  • 長時間労働が続いていないか
  • 休みを取りやすいか
  • 困ったときに相談できるか
  • 上司や同僚との関係に問題はないか
  • 一部の社員だけに負担が集中していないか
  • 家庭や介護の事情が変わったときに相談できるか
  • 体調を崩したときにも働き続けられる仕組みがあるか

こうした職場環境も、社員の定着に大きく関わります。

2026年版中小企業白書でも、長時間労働の防止や有給休暇の取得促進、柔軟な働き方、社内コミュニケーションなどが、人材確保や定着につながる取組として示されています。

「離職防止」という言葉を聞くと、退職しそうな社員を引き止めることを思い浮かべるかもしれません。

しかし、本当に大切なのは、辞めたいと思ってから対応することではありません。

辞める理由が大きくなる前に、働き続けやすい環境をつくることです。

健康経営を「人材戦略」として考える

ここで関係してくるのが、健康経営です。

健康経営と聞くと、

「健康診断を受けてもらうこと」

「運動や食生活を改善すること」

をイメージする方もいるかもしれません。

もちろん、それらも大切な取組です。

しかし、EnLinksでは健康経営を、それだけでは捉えていません。

健康経営とは、人が働き続けられ、組織が持続的に機能するための人材戦略・経営戦略です。

経済産業省も、健康経営を

「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」

と位置づけています。

ここで重要なのは、最初から健康施策を増やすことではありません。

まずは、自社の状態を整理することです。

例えば、

  • 誰に仕事が集中しているのか
  • なぜ休みにくいのか
  • どこでコミュニケーションが止まっているのか
  • 管理職に負担が偏っていないか
  • 誰が辞めると事業への影響が大きいのか

こうした課題を整理したうえで、働き方や職場環境、組織、健康面を改善していきます。

これが、EnLinksが考える中小企業の健康経営です。

健康経営は「社員を健康にする活動」だけではありません。

人が無理なく働き続けられる会社を、経営としてつくることなのです。

良い会社づくりは「採用広報」にもつながる

もう一つ大切なのが、

今すでに会社で取り組んでいることを、求職者に伝えることです。

例えば、

休みを取りやすくする取組をしている。

社員同士が相談しやすい環境をつくっている。

管理職の負担を減らすために業務を見直している。

こうした良い取組があっても、求職者に知られていなければ、採用にはつながりにくいものです。

求人票に、

「有給休暇制度あり」

と書くだけでは、会社の考え方までは伝わりません。

なぜその制度を整えているのか。

社員がどのように働いているのか。

会社として、どのような職場をつくろうとしているのか。

ここまで伝えることで、会社の姿勢や考え方が見えてきます。

経済産業省の関連資料でも、健康経営への取組が就職先選びの判断材料になることが示されています。

採用広報とは、会社を実際以上によく見せることではありません。

社内で実際に行っている良い取組を、求職者に伝わる言葉に置き換えることです。

社員が働き続けやすい会社をつくること。

そして、その会社の良さをきちんと伝えること。

この2つがつながることで、採用と定着をひとつの人材戦略として考えられるようになります。

まとめ|人手不足対策は「採用する前」から始まっている

人手不足が続くと、

「もっと採用しなければ」

と考えるのは自然なことです。

しかし、中小企業の人材確保を考えるとき、採用だけを見ていては十分ではありません。

「誰を採用するか」と同時に、

「今いる誰に働き続けてほしいのか」

を考える。

「どうやって応募を増やすか」と同時に、

「なぜこの会社で働き続けられるのか」

を考える。

ここまで整理すると、採用、定着、働き方、組織づくり、健康が、ひとつにつながって見えてきます。

採用が難しい時代だからこそ、採用活動だけを強化する前に、

自社の人材戦略そのものを見直すことが大切です。

採用・定着・組織・健康の課題を、一度整理してみませんか?

「求人を出しても採用できない」

「社員の定着に不安がある」

「管理職や一部の社員に負担が集中している」

「課題はいくつもあるけれど、何から改善すればよいのか分からない」

こうした悩みは、それぞれ別の問題に見えて、実はつながっていることがあります。

EnLinksでは、健康経営だけに限定せず、

採用・定着・組織・健康を含めた人材課題を整理する30分無料個別相談

を行っています。

「自社では何が課題なのか」

「どこから考えればよいのか」

を整理する機会としてご活用ください。

参考資料・出典

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」
愛知労働局「最近の雇用情勢 令和8年7月分」
中小企業庁「2025年版 中小企業白書 第4節 人材戦略」
中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書」
経済産業省「健康経営」関連資料

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です